Sex Change オキナワベニハゼの社会と性転換
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日本語版完成 2014年 英語版完成 2015年

須之部友基 (東京海洋大学)

 オキナワベニハゼは私が30年以上研究を続けてきた魚です.双方向性転換の実験に成功したのは1988年の
夏でした.それまでの魚類における性転換の研究では,雌から雄あるいは雄から雌という一方向の性転換が
知られていました.ところが生殖腺の構造を観察した時,社会順位を変えれば雌から性転換した雄が再び雌に
戻るというアイディアを思いつきました.

 その成果はDVDの内容にあるとおりです.正式に学術雑誌に発表したのは1993年ですが(Sunobe and
Nakazono (1993)Ethology 94: 339-345),大きな反響を呼びナショナルジオグラフィックでも取り上げられ
ました.その後もオキナワベニハゼの研究は発展し続け,自然状態でも同様に双方向性転換をすることが確認
されました.

 また内分泌の研究材料としても注目され,性ホルモンと性転換の研究に大きく貢献しました.オキナワベニ
ハゼの仲間は50種以上知られており,性転換する種やしない種がいます.現在はこれらの種の系統関係(歴史
的にどういう道筋でそれぞれの種が進化してきたか再構成したもの)を明らかにして,性転換が進化する条件
をさらに詳しく解析しようとしています.

 実はこの研究を進めていた時,ほぼ同時に別の日本人の研究グループがダルマハゼという魚で双方向性転換
を発見していました.互いに連絡を取っていたわけではないのに,同じ科学的発見が並行してなされるのは
不思議なことでした.ライバルから刺激を受けながら研究ができたことは,良い思い出になっています.後日談
ですが,当時のライバルチームの方々とは今では共同研究をしています.

 このDVDは,双方向性転換を発見した当時の研究方法に基づいてその様子を忠実に再現し,その後の成果を
加えたものです.御覧いただいた方にはオキナワベニハゼの性転換がどんな条件で進化したのか理解できる
ように作りました.このDVDを観てオキナワベニハゼのみならず多様な魚類の社会に興味を持っていただければ
望外の幸せです.

プレスシート(PDF)

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